今年の夏休みに、また家族で映画館に映画を観に行った。(前の記事でも書いた「崖の上のポニョ」からほぼ毎年夏休みに家族で映画館に行くことが、恒例になってきた)
今回の「モンスターズユニバーシティ」だが、前作の「モンスターズインク」をTVでチェック済みだったので、キャラクターについては、子ども達も皆違和感なく観ることが出来ていたようだった。
今回は、前作の過去に戻っての物語ということだったが、単なる続編という枠組みを超えていて、とても面白く観ることが出来た。
特にサリーではなくマイクが主人公になっている所が絶妙に良かった。マイクがNo,1の怖がらせ屋になる、という夢を持って学生時代を一所懸命に過ごす、という内容だったのだが、自分の人生の中での色々な出来事ともリンクして、自分の心の奥の何かを震わせそして呼び起こさせるような感じがした。
例えば、ふと自分の学生生活を振り返ってみると、マイクのように、ひとつのことに夢中に一所懸命になって取り組んだことはあっただろうか、と考えさせられてしまうのだ。もちろん前の記事でも度々出てきているように、自分は野球を中学・高校と、6年間それなりに一所懸命練習をやってきた。それを自分のなりたい職業(いわゆるプロ)として意識したことはないし、一番になろう、というところまで情熱を持って取り組んでいたかと考えると、そうではなかったと正直思う。だからマイクの一途な姿、自分を信じ、思い続け努力する姿を見ると、なぜかアニメのコメディタッチの作品であるにもかかわらず、目頭がジワーッとしたり、身体が震えてくるような熱いものが込み上げてくるような感覚になって、心底うらやまし~いと思ってしまうのである。
自分は、似たような感覚を、つい最近別の場所でも味わったことを思い出した。
うちの長男くんは、今年中学生になって、昔から習っているチェロを持って、ジュニアオーケストラに入団した。(このブログの最初の頃の記事では、まだ小学校低学年だったのに。小さい頃のエピソードが懐かしく感じられるなんて、子どもはこちらが予測している以上に、あっという間に大きくなっているものです)
長男は、小さい頃から自分を表現することが苦手な感じの子どもだった。
よく自分が何か長男に対して怒った時でも、彼はじーっと黙って何も言わず涙を浮かべているだけだったり、逆に嬉しいことでも、大きな声で笑うこともせず、こっちが「今、嬉しいの?」と聞いて確認しなければいけないほど無表情だったり。(本人なりに嬉しがっているらしいんだけど)
そんな彼が、自分からチェロを習いたい、と言い出したのが小学4年生。そこから先生を探して通い続け、中学生になって部活とかどうするか、という段階になって、悩んだ結果、車で通える範囲のジュニアオーケストラに入ることを決めた。
4月、初めての長男のオーケストラ全体練習を覗いてみると、始めは多少緊張している様子が窺えたのだけれど、段々と曲に集中してきたのか、自分の感情を少しずつ表に出すような感じで、ちょっと身体を揺すりながら演奏するようになってきた。
家でのチェロの練習では、淡々と弾く姿が印象的だった長男が、今目の前で、心から音楽を奏でるのが嬉しくて仕方がない、といった気持ちを、段々と身体のあらゆる場所から溢れ出させて弾いている。
練習終盤では、もうなんだか嬉しくって仕方ないようなオーラ出まくりの長男の後ろ姿を見て、とても眩しく、とても頼もしく、そしてとてもうらやましく思ってしまった。そんな自分の心の動きに驚きながらも、本物の音楽の力にも感動させられていた。
練習終わった長男に、「演奏、楽しかった?」と聞くと、また無表情に楽しかった、と答えていたが、表情とは裏腹の、身体から溢れる嬉しいオーラは、しばらく消えることはなかった。
最近の小学校の卒業式は、自分の将来の夢を一人一人大きな声で発表するのが流行らしいのだが(自分達の時代の卒業式にはそんなことはしなかった)、そう言えば、長男は無表情ながら大きな声で、チェリストになってたくさんの人にキレイな音色を聴かせたい、と言っていた。
一つのことに夢中になって、一所懸命に取り組む姿は素晴らしい。そしてそういったものに出会えた人は、とても幸運なのだとも思う。
たとえそのことで大きな挫折を味わったとしても、それに取り組めた時間があったことには変わりがない。
自分の現実を知り、道を違えても、そこで出会ったこと・人・もの・気持ちは、忘れてはいけないと思う。
それを大事にする人は、必ず次の大切にするものが見つかるからだ。
この映画のマイクのように...。